ピロリ菌除去で胃がん再発率低下

早期胃がん患者の
ヘリコバクター・ピロリ菌を除去することで、
再発率が1/3に低下するとの
臨床試験結果が出たとのこと。

ピロリ菌と胃がん再発の関係を探る臨床試験

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浅香正博氏(北海道大学病院長)らが行った臨床試験の結果、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染している早期胃がん患者からピロリ菌を除去することで、除菌しない場合より胃がんの再発率が約1/3に減少することが確認されたとのことです[1][2][3]。
(研究結果は、イギリスの医学誌「The Lancet」に発表されています[4][5]。)

この研究の臨床試験では、日本国内の51医療機関(北大病院含む)が参加。

2001年〜2003年の期間に、早期の胃がんを内視鏡で切除した患者505人を臨床試験の対象として、255人はピロリ菌を除菌、残りの250人は除菌せずに、その後3年間毎年、内視鏡で胃がん再発の有無を確認したとのことです。
(※ピロリ菌の除去・非除去は患者の了解を得て実施。)

その結果として、胃がんの再発が起きた患者は、

・ピロリ菌除菌者:9例
・ピロリ菌非除菌者:24例

となり、胃がん再発率に約3倍の開きが生じたそうです。

※ピロリ菌除菌者の再発例のうち3例は、除菌失敗が原因とみられることから、実際にはピロリ菌除菌による胃がん再発の防止効果は、3倍以上と考えられるとのこと。

ちなみに、ピロリ菌除菌による効果が確認されたことで、2006年に非除菌者も除菌を行い、臨床試験を終了したとのことです。
(非除菌者の胃がん再発者は、全て早期段階で治療を行ったそうです。)


(参考)
・[1]北海道新聞2008年8月6日朝刊1面
・[2]ピロリ除菌効果を確認 浅香北大病院長 胃がん再発3分の1に(環境・自然・科学 北海道新聞)
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/109450.html
・[3]ピロリ除菌 胃がん再発予防 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080808-OYT8T00384.htm
・[4]The Lancet(※イギリスの医学誌「ランセット」のサイト、英語)
 http://www.thelancet.com/
・[5]Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: an open-label, randomised controlled trial(※「ランセット」掲載の発表記事の要約)
 http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673608611599/abstract


ピロリ菌以外の要因を排除

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ピロリ菌の除去による胃がん再発率の低下は、従来から効果があると考えられていたそうです。

※例えば参考サイト[3]で、胃がん再発率とピロリ菌除菌・非除菌の関係を観察した研究データのグラフが掲載されています。

ただし、これまでの研究データは、研究を行った各医療機関の独自基準による診断・治療の結果を事後にまとめたもののみで、ピロリ菌除菌以外の胃がん再発要因が排除できていなかったとのことです[1][2]。

浅香正博氏(北海道大学病院長)らが行った臨床試験では、ピロリ菌除菌以外の再発要因を排除するため、参加医療機関(日本国内の51医療機関)が、診断基準や治療法を統一。

また、患者の除菌者と非除菌者の割り当てを無作為に行い、さらに性別・年齢・ガン進行度などの差を両グループで無くしたとのことです。


(参考)
・[1]北海道新聞2008年8月6日朝刊1面
・[2]ピロリ除菌効果を確認 浅香北大病院長 胃がん再発3分の1に(環境・自然・科学 北海道新聞)
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/109450.html
・[3]平田クリニック かわら版 No.13(2007年4月) 第13回 胃がんと大腸がん
 http://www.h7.dion.ne.jp/~hirata/kawara_13.html
・ピロリ除菌 胃がん再発予防 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080808-OYT8T00384.htm


ピロリ菌について

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ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori、「ピロリ菌」と呼ばれている)は、1982年[1][2]([3]では1983年)に発見された、ヒトや猫、豚などの胃に生息する、らせん状のかたちをした細菌です。

※ピロリ菌を発見したオーストラリアのロビン・ウォレン(J. Robin Warren)とバリー・マーシャル(Barry J. Marshall)は、2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

以前は、胃がんや胃潰瘍は精神的ストレスなどにより引き起こされると考えられていました。

しかし研究により、ピロリ菌が胃がんの原因であることが判明してきたことから、1994年に「国際がん研究機関」(IARC)[5]が、ピロリ菌を胃がんの病原体として発表したとのことです。

ピロリ菌と胃がんの発生・再発に深い関係があることが明らかになってきていますが、日本でのピロリ菌除去への保険適用は、現在、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の患者のみに限られているそうです[4]。

ただし、食道炎や食道ガンについては、ピロリ菌はむしろそれらの発生を防止しているとの見方もあり[3]、人の健康との関係については、未だ議論がなされているようです。


(参考)
・[1]北海道新聞2008年8月6日朝刊1面
・[2]ピロリ除菌効果を確認 浅香北大病院長 胃がん再発3分の1に(環境・自然・科学 北海道新聞)
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/109450.html
・[3]ヘリコバクター・ピロリ - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%AD%E3%83%AA%E8%8F%8C
・[4]ピロリ除菌 胃がん再発予防 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080808-OYT8T00384.htm
・[5]Home - IARC - INTERNATIONAL AGENCY FOR RESEARCH ON CANCER
 http://www.iarc.fr/


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